逆流性食道炎

逆流性食道炎とは

逆流性食道炎とは胃液や胃の内容物が逆流して食道の粘膜に炎症を起こす病気です。胃酸はpH1.0~1.5というとても強い酸性で、食べ物の消化のほか口から入ってきた細菌を殺菌する役割を担っています。食道はpH 7.0の中性で、しかも胃酸から粘膜を守るための粘液がありません。そのため、胃酸などが逆流してくると炎症が起こってしまうのです。 原因として食生活の欧米化があるため、逆流性食道炎は近年、日本で増え続けている病気です。腹圧によって発症リスクが上がるため肥満でも起こりやすく、また食道と胃の境にあって食物が通る時以外は強く締めて逆流を防いでいる括約筋が加齢によって衰えることでもリスクが上がります。こうしたことから、逆流性食道炎を訴える患者様が増えています。

逆流性食道炎の症状

代表的な症状に胸やけがあります。みぞおちから胸にかけて焼けるような不快感が起こり、喉の方に上がってくることもあります。ただし、逆流性食道炎の症状はさまざまで、胸やけが起こらず、咳や喉の違和感が続くことなどもあります。下記のような症状があったら、受診をおすすめします。

  • 胸焼け
  • ゲップが多くなった
  • 呑酸(のどや口の中に酸っぱいものや苦いものが上がってくる感じ)
  • のどの違和感、詰まり
  • 咳がよく出る
  • 胃もたれ
  • 胃のむかつき
  • 胃やみぞおちの痛み

逆流する原因

食道の仕組み

胃は腹部にあり、食道は胸部にあります。その間には横隔膜があって、そこに開いた食道裂孔を食道が通っています。この食道裂孔は食道をしっかり支える役目も持っています。食道と胃の境目には括約筋があって食物が胃に入る時以外は硬く締め付けて逆流を防いでいます。また、消化管には蠕動運動という機能があり、口から摂取した食べ物を送り込んでいるため、逆流が起こっても素早く戻されます。 こうした逆流を防ぐ仕組みや逆流が起きてもすぐに戻す機能に問題が起こると、逆流が起こって食道粘膜がダメージを受け、逆流性食道炎を発症します。

下部食道括約筋のゆるみ

食道と胃の境目にある下部食道括約筋(LES)は筋肉ですから、加齢などによってその働きが弱くなることがあります。括約筋の締りが悪くなってゆるんでしまうと食道への逆流が起こりやすくなります。

食道裂孔のゆるみ

食道裂孔も食道と胃の間を締める役割を担っていますが、こちらも年齢とともにゆるんできます。食道裂孔がゆるむと腹部にある胃が胸部の方にはみ出してくる食道裂孔ヘルニアになることがあり、食道への逆流を起こしやすくなります。

胃の圧力が上がる

腹圧が上がると、胃が圧迫されて食道への逆流を起こしやすくなります。肥満、妊娠、そして腹部を締め付ける衣類、猫背や前かがみの姿勢など腹圧が上がる習慣があると逆流性食道炎を発症しやすくなります。

逆流性食道炎の治療

食事療法・生活習慣改善

逆流性食道炎は生活習慣によって悪化することが多く、再発しやすいため、生活習慣の改善が重要になります。

逆流させやすくなる食品の摂りすぎに注意
  • 高脂肪食
  • チョコレート
  • アルコール
  • コーヒーや紅茶、濃い緑茶などカフェインが含まれるもの
  • 炭酸飲料
  • 酸っぱいもの(柑橘系のジュースなど)
  • 刺激の強い香辛料
  • 玉ねぎ
  • もち
  • あんこ(饅頭など)
普段の生活で気を付けたい腹圧のかかる動作や習慣
  • 腹部を締め付ける衣類(ベルト、コルセット、帯)
  • 猫背、前かがみの姿勢
  • 暴飲暴食、食べ過ぎ
  • 食べてすぐ横になる
  • 喫煙

就寝時に横になると胸やけやしつこい咳などの症状が起こる場合は、上半身を少し高くして休むと症状を抑制できます。

薬物療法

薬物療法症状を解消する効果的な薬がいろいろありますので、症状や状態に合わせて処方していきます。再発を防ぎ、粘膜の炎症をきちんと治すために、症状がなくなっても医師の指示を守って処方された期間は薬をきちんと飲んでください。

  • PPI(プロトンポンプ阻害薬)やH2ブロッカー
    胃の中を中和させて胃酸分泌を抑制します。H2ブロッカーの効果が薄いケースがありますので、その場合にはPPIを用います。
  • 消化管運動機能改善薬
    胃酸や胃の内容物の逆流防止、蠕動運動促進を目的に用いられます。
  • 食道粘膜保護薬
    粘膜を保護して炎症を起こしにくくする薬を用いることもあります。

PPI(プロトンポンプ阻害薬)やH2ブロッカーの登場により、逆流性食道炎は比較的症状を解消することが簡単な病気になっています。ただし、薬物療法や生活習慣の改善で思うような効果が得られないケースがまれにあり、食道狭窄や短食道といった合併症が起こることもあります。こうした際には内視鏡を用いた手術が必要になることがあります。

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